血液検査で血糖値をみる項目はどこ?

分子栄養学


分子栄養学的な血液検査の読み方ですので異常があるときは必ず医師に診察して頂いてください。

インスリン抵抗性という言葉がキーワードになるのでここから学びましょう

インスリン抵抗性とは、体内の細胞が正常にインスリンに反応しない状態を指します。
インスリンは、膵臓によって分泌されるホルモンであり、血糖値の調節やエネルギー代謝に重要な役割を果たしています。

通常、インスリンは食事後に血糖値が上昇すると分泌され、細胞に対して血糖の取り込みを促進します。しかし、インスリン抵抗性が高い場合、細胞がインスリンに対して効果的に応答せず、血糖を十分に取り込むことができません。その結果、血糖値が高くなり、膵臓はさらに多くのインスリンを分泌しようとします。

長期間にわたってインスリン抵抗性が持続すると、高血糖や2型糖尿病のリスクが増加する可能性があります。また、インスリン抵抗性はメタボリックシンドロームや心血管疾患、肥満、脂肪肝などの健康問題とも関連しています。

インスリン抵抗性のメカニズムは複雑であり、正確には細胞内にインスリンが入らないわけではありません。インスリン抵抗性は、主に以下の2つのメカニズムに関与しています。

  1. インスリン受容体の異常: インスリンは、細胞表面に存在するインスリン受容体に結合することで細胞内のシグナル伝達を開始します。インスリン抵抗性の場合、インスリン受容体の異常が起こり、インスリンの結合やシグナル伝達が適切に行われなくなります。これにより、細胞内へのグルコースの取り込みや代謝が低下し、高血糖状態が維持されます。
  2. インスリンシグナル伝達経路の異常: インスリンの受容体が適切に作用しても、その後のシグナル伝達経路に異常がある場合もあります。これにより、細胞内でのインスリンの効果が低下し、グルコースの取り込みや代謝が適切に行われません。

このようなメカニズムによって、インスリンの効果が減少し、血糖の制御が悪くなることがインスリン抵抗性の特徴です。ただし、すべての細胞が同じ程度にインスリン抵抗性を示すわけではなく、一部の組織や臓器(特に肝臓、筋肉、脂肪組織)が特に影響を受けやすいとされています。

インスリン受容体とグルコース輸送体4が細胞内に取り込まれるための役割
インスリン受容体はIR(Insulin Receptor)と呼ばれます。IRは細胞表面に存在し、インスリンと結合することでインスリンシグナル伝達経路を活性化させます。

GLUT4は、インスリンのシグナル伝達に関与する一因となるタンパク質であり、細胞内のグルコース輸送を担当しています。インスリンの存在下で、GLUT4は胞内の貯蔵小胞から細胞表面へ輸送され、グルコースの取り込みを促進します。

インスリン抵抗性の場合、インスリンシグナル伝達経路が低下し、GLUT4の輸送が妨げられることがあります。その結果、細胞内のグルコース取り込みが減少し、高血糖が引き起こされます

ここからが血液検査を見てわかる血糖調節障害を評価する項目です。

  1. グルコース(100):血液中のブドウ糖(血糖)のレベルを測定します。
    インスリン抵抗性が高い場合、グルコースの値が通常よりも高くなることがあります。
  2. HbA1c(5)(ヘモグロビンA1c)血液中の赤血球に結合しているグルコースの割合を示す指標です。HbA1cは、1~2か月間の平均血糖値を反映します。インスリン抵抗性が高い場合、HbA1cの値が通常よりも上昇する傾向があります。
  3. グリコアルブミン(14.5):血液中のアルブミンと結合したグルコースの割合を示す指標です。グリコアルブミンも、過去2~3週間の血糖の平均値です。
  4. 1.5AG(1.4~)(1.5アノヒドログルコース)血液中の低分子量の糖(特に食後の血糖上昇に関連するを評価する指標です。1.5AGの値は、食後の血糖管理の評価に役立ちます。インスリン抵抗性が高い場合、1.5AGの値が低下する傾向があります。
    1.5-AG(1.5アノヒドログルコース)は、グルコースの代謝産物であり、血液中のグルコース濃度の上昇を反映します。 1.5-AGは腎臓で再吸収されることなく尿中に排泄されるため、その量は血液中のグルコースの状態に応じて変動します。
    通常、血液中のグルコース濃度が高いと、腎臓の尿細管での1.5-AGの再吸収が減少します。 これは、高血糖状態での1.5-AGの排泄量の増加を意味します。 逆に、血液中のグルコース濃度が低い場合、1.5-AGの再吸収が増加し、尿中の1.5-AGの排泄量は減少します。
    したがって、1.5-AGの尿中の再吸収は、血液中のグルコース濃度と逆相関の関係にあります。 高血糖状態では、1.5-AGの再吸収が低下し、尿中の1.5-AGの量が増加します。 低血糖状態では、1.5-AGの再吸収が増加し、尿中の1.5-AGの量が減少します。
    なお、1.5-AGは、糖尿病の管理や血糖コントロールの指標として使用されることがあります。 血糖コントロールが良好であれば、1.5-AGの値は正常範囲に近づきます。 しかし、血糖コントロールが悪い場合には、1.5-AGの値は低下します。
    1.5-AGは、血液中のグルコースの上昇を反映する指標であり、高血糖状態では1.5-AGの尿中排泄量が増加する傾向があります。 したがって、一般的には、インスリン抵抗性が高い場合には、血液中のグルコース濃度が上昇し、1.5-AGの尿中排泄量も増加する可能性があります。
  5. インスリン(2~3):血液中のインスリンのレベルを測定します。インスリン抵抗性が高い場合、通常よりも高いインスリンの値が観察されることがあります。ただし、インスリンの単独の測定結果だけでは、インスリン抵抗性の評価は完全ではありません。
  6. 中性脂肪(100):血液中の脂質の一種である中性脂肪のレベルを測定します。インスリン抵抗性が高い場合、中性脂肪の値が通常よりも高くなることがあります。
    また夜間低血糖や長期のストレス、グリコーゲンの枯渇、糖新生亢進状態では低下することがあります。

お付き合いいただきありがとうございました。
またお逢いしましょう。

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